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2014年10月31日

京極一家のあとを継い

「軒先三寸借り受けやして、ご挨拶申し上げます、どうぞお控えなすって…」
 京極一家の若い衆が出てきて、玄関のたたきに控える。
   「早速のお控え、有難うござんす、当方生まれはお江戸です」
 中年の代貸し格の男が覗いた。
   「お江戸と申しましても、些か広う御座んす、江戸は神田の生まれ、育ちは京の都に御座んす」
   「何や、豚松(政吉)やないかいな、そんな仁義は要らへん、早う上がってお父っつあんに会いなはれ」

   「てめえ生国と発しますは、摂津の国は池田です」
   「はあ、知っとります、池田の亥之吉どんでっしゃろ、そんな処で遊んどらんと、早く貸元のところへ行きなはれ」
   「誰も遊んでいますかいな」
   「亥之吉どん、あんさんも豚松も、堅気の商人(あきんど)どすやろ、堅気なら堅気らしくしなはれ」
   「へえ、すんまへん」

 京極一家の貸元は、思ったよりも元気そうであった。
   「親父さん、豚松ただいま帰って参りました德善健髮

   「ああ、豚松か、お帰り、いっぱしの男になりよったなァ、遠いところご苦労やった」
   「親分、池田の亥之吉も参りました」
   「おお、亥之吉か、懐かしいなあ、その節は豚松が世話になったなァ」
 布団をめくって半身を起こそうとしたが、代貸が止めた。
   「起きたらあきまへん、無理せんといてください」
   「豚松も亥之吉も、ゆっくり出来るのか中醫頭髮護理
   「へえ、しばらく厄介になるつもりで参りました」
   「そうか、嬉しいなァ、これで酒を汲み交わせたらええのに、医者が飲んだらあかんと硬いこと言うのや」
   「親父さん、顔色もよろしいし、この分やったら半月もしたら元気になりますやろ」
 政吉は、心からそう思えた。
   「そうか、これで豚松が京極一家のあとを継いでくれたら、思い残すことが無いのやが」
   「すんまへん、わいはこれでも堅気の商人どす、親不孝を堪忍しとくなはれ」
   「いや、構へん構へん、わいの愚痴や、聞き流してんか」

 その日は、夜半まで政吉と亥之吉は貸元の寝所で思い出話などをして笑っていたが、貸元の身体に障ってはいけないと二人は別の座敷で眠り、翌朝貸元に朝の挨拶に行くと、貸元はまだ眠っているような穏やかな顔で亡くなっていた。
 政吉は、貸元に縋って大泣きをした。その声を聞きつけて、代貸以下、子分達が貸元の寝所に集まり、貰い泣きをした。

 通夜を済ませ、政吉が喪主となり、立派な葬儀を出した。京極一家の後継は、最年長代貸に任せて、政吉と亥之吉は、新貸元と、子分ではなく舎弟となった人たちに見送られ、帰途の旅に就いた脫髮






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